「記録を破る」は普通breakを使って、break the recordといいます。彼は世界記録を破ったというのであれば、He broke the world record.といえばいいでしょう。An event to break a Guinness world record was held at the Yokohama Port Festival on June 2. (ギネス世界記録を更新するためのイベントが6月2日,横浜開港祭で行われた)(浜島書店) ところが、ときにこの意味でsmash が使われることがあります。たとえば, That smashes the previous world record, which was his own, by about 1 minute and 40 seconds. (このタイムはこれまでの世界記録――それも彼の記録だったがーーを大きく破るものだ。1分40秒ほどの差で)(CNN) これはエリウド・キプチョゲ選手が2時間を破るタイムでマラソンを走ったというニュースからの抜粋です。2時間を割るなんて瀬古選手や宗兄弟が走っていた頃には考えられないことでした。その当時、人間が2時間を切ることなど不可能だと誰もが思っていたはずです。それが破られたわけですから、この記事を書いた記者はbreak ではなくsmashを使ったと思われます。大きな変化、驚異的な、劇的な出来事というニュアンスを出すときに、このsmashが使われるのだそうです。

finding(s) 「研究[調査]結果」something that is found (発見されたもの) という意味から「研究結果」とか「調査結果」の意味で使われます。通常ingの複数形は「結果」を表しますが、この場合も、複数形で調査や研究の「結果」を示していると考えればいいと思います。多くの貴重なデータなど(many valuable things) が出てくることを想定する、あるいは実際に多くの研究結果が出ているので複数形になると捉えればいいのではないでしょうか。もっとも、はじめから結果が一つしか出ないものであれば調査する必要もないわけでが……。また「発見された何か」(something that is found)と受け身の意味をもつことから、調査研究の結果発見されたものが注目される、といったニュアンスもfindingsにはあるそうです。Dr. Miller’s findings will form the basis for our 10-year marketing strategy. (ミラー博士の研究結果は今後10年間にわたる当社のマーケッティング戦略の基礎を形作るものです) Those are the findings of this year’s Youth World Report, related by the United Nations. (これらは国連が発表した今年の世界青年報告書の調査結果である) These findings really highlight that widening gap between the rich and the poor that we keep talking about. (この調査結果によって浮かび上がったのは、私たちがいつも話題にしている富める者と貧しい者との格差の拡大です)

bemoan 「嘆く」「哀しむ」be-は他動詞をつくる接頭辞だそうです。ですから構造的にはbe+moanということになります。moanも「嘆く」といった意味ですが、普通自動詞で使われるので目的語を取る場合はaboutなどの前置詞を伴います。一方bemoanの方は他動詞ですから、前置詞は不要になります。The environmentalists are bemoaning the pollution of the sea. (環境保護論者たちは海洋汚染を嘆いている) He bemoans his situation. (彼は自分の置かれた境遇を嘆き悲しんでいる) Researchers at universities are always bemoaning their lack of funds.(大学の研究者たちは予算が足りないといつも嘆いている) なお、同意語の deploreは接頭辞のde-からも推測されるように、価値のあるものや人が去っていく、つまり「死」を嘆くといった場合に使われるようです。The class deplored the death of their teacher. (クラスの生徒たちは教師の死を嘆いた)

morbid 「病的な」「身の毛のよだつ」Cambridgeにはtoo interested in unpleasant subjects, especially deathとあります。不快な問題についての興味、特に死について、ということですから、morbidという語には「死」の影がつきまとっていると考えればいいように思います。It used to be a nursery school for the children of Chernobyl. Now, it’s one of the morbid attractions for the tourist hordes exploring this nuclear exclusion zone. (ここはかつてチェルノブイリの子どもたちの保育園でした。今は趣味のわるい観光地の一つとして原発立入禁止区域を探索する大勢の旅行者を惹きつけています)(CNN) ここに出てくるhordeは群れをなすという動詞もありますが、ここでは「大勢」「多数」といった名詞です。簡単にa large number of peopleと考えればいいでしょう。野球とかコンサートとか大勢の人たちが集うのは危険だというので、social distancingの観点から、観客を制限していますが、hordeを避けるということです。それにしてもあのチェルノブリイが観光地になっているとは……。事故が起きたのは1986年4月26日。ゴルビーことゴルバチョフが事故について語ったのは5月14日。その間、多くの事実が隠蔽された。そこを訪れる旅行者たちの目的は、観光目的などではなく、幾度となく繰り返されて来た歴史的悲劇――政府や権力者を守るために多くの罪のない人々が犠牲になってきた、そして現在もしかり、という悲劇を確認するためなのかもしれません。

outgoing : I am not cut out for a sales job as I'm not outgoing. というと私は社交的ではないのでセールスの仕事は向いていません、といった意味になります。  outgoingというと「社交的な」という意味が一般的ですが、「退職する」とか「去る」という意味で使われることがあります。中世英語ではdepartureの意味だったそうで、そこからleaving or retiring from a positionの意味合いが派生したのでしょう。go outからoutgoingが派生したと捉えれば「去る」という意味合を理解しやすいと思います。ただし、「辞職する」といった場合には、その後に誰かがその職に就くわけですから、その時点でincomingも同時にはっきりしているニュアンスがあるそうです。辞任して、後のことはよろしく、というなげやりな意味合いはないとのことです。The harbor was crowded with people who had come to see the outgoing ships. (出船を見送る人で港はごったがえしていた) この文の場合はdepartureの意味合いが残っています。The incoming and outgoing mayors stood side-by-side. (後任の市長と退陣する市長が並んで立っていた) Germany’s outgoing defense minister is to be its next president. (退任するドイツの国防相が次期委員長となる)(CNN) これは欧州委員会に関する記事からの抜粋です。そこでpresidentは「大統領」ではなく「委員長」と訳されています。もともとpreside, つまり人々の前preに座るsideというのが語源です。そういうわけで、presidentは組織の長という意味ですから日本語ではさまざまに訳されます。

 wrap up :「包む」「着込む」「終える」“wrap up” は、物に使われると「包む」、作業に対して使われると「終える」といった意味になります。Let's wrap up this meeting.(このミーティングを終わらせよう) といった具合に。 簡単にいえば、finishです。商品にラップをかけて店頭に出す状況をイメージすればいいかもしれません。商品を包んで作業は終わり、あとはそれを買ってくれる人を待つだけです。そんなことから「終える」という意味が出てきたのかもしれません。The Fortunate World Cup has wrapped up its first ever massive sporting event. (フォートナイト・わールドカップはその初となる大規模なスポーツ大会を終えた)(CNN) フォートナイト・ワールドカップはeスポーツの大会なので、sports eventではなくsporting eventとしてあるのでしょうか。「スポーツ大会」はsports eventかcompetitionなどが普通ではないかと思うのですが。

outgoing:  I am not cut out for a sales job as I'm not outgoing. (私は社交的ではないのでセールスの仕事は向いていません) この文のようにoutgoingは「社交的な」という意味が一般的ですが、「退職する」「去る」という意味で使われることがあります。中世英語ではdepartureの意味だったそうで、そこからleaving or retiring from a positionの意味合いが派生したようです。この意味は文字通り、go outからoutgoingへ派生したと捉えればいいでしょう。ただし、「辞職する」といった場合には、その後に誰かがその職に就くわけですから、その時点でincomingも同時に決まっているニュアンスがあるそうです。辞任して、後のことはよろしく、というなげやりな意味合いはないとのこと。The harbor was crowded with people who had come to see the outgoing ships. (出船を見送る人で港はごったがえしていた) この文の場合はdepartureの意味合いが残っています。The incoming and outgoing mayors stood side-by-side. (後任の市長と退陣する市長が並んで立っていた) Germany’s outgoing defense minister is to be its next president. (退任するドイツの国防相が次期委員長となる)(CNN) これは欧州委員会に関する記事からの抜粋です。そこでpresidentは「大統領」ではなく「委員長」と訳されています。もともとpresidentはpreside, つまり人々の前preに座るsitというのが語源です。そういうわけで、presidentは「組織の長」といった感じですから日本語に訳す際にはどのような組織の長なのかを把握する必要があります。