「国家」を意味する語として紛らわしいのがnationcountryです。Cambridgeをみてみると、nation a country, especially when thought of as a large group of people living in one area with their own government, language, traditions, etc.とあります。ひとつの政府のもとに共通の言語や伝統をもった人々の国、といったかんじです。一方countryに関しては、きわめてシンプルで、an area of land that has its own government, army, etc.とあります。簡単にいえば、nationはそこの国に住む人々、peopleに重点を置いている語であり、countryは国土というか領土というか、土地,landに重点を置いている語だということがわかります。さて、国家というものが歴史的にどのようにして発生したのか詳しくは知りませんが、どのような国家であっても国民なしには存在しないのは確かです。――ちょうど学校というものが生徒なしには存在しないのと同じように。言い換えれば国家というものは国民の生存のために存在する。その国家が国民の生存を脅かすようになってしまった場合、はたしてそれを国家と認める必要が国民にあるのだろうか。そんな憤りが噴き出してきます。コロナに罹患した妊婦を入院させることができない。重篤な患者を自宅待機させざるを得ない。そして多くの女性や若者たちが自殺している。この国あるいは国家はわたしたち国民の生存を脅かしていないか。つまりもうnationではなくなっていないか。少なくとも国民の生存に重点をおいて動いているとはとても思えない。数か月前に近所のおじいさん(いつもとりたての野菜を持ってきてくださった)がおなくなりになりました。体調を崩されて入院していたときにコロナに院内感染したことを最近になって知りました。寡黙で働き者の元気なおじいさんでした。