follow in one’s footstepsというと「同じ道を歩む」とか「後を継ぐ」といった意味で使われます。Collinsにはto follow someone's example, vocation, etc.; be or try to be like some predecessorとあり、先任者あるいは前任者のようになろうというのがこの成句のコアのニュアンスだと分かります。なぜ前置詞inが必要なのかとカナダ出身の先生にお訊ねしたところ、雪道をイメージするといいでしょうということでした。なるほど雪深い道を歩くとき前の人の足跡に足を入れてその後を辿って歩くと安全ですものね。I’ve decided to follow in your footsteps and become a politician. (あなたと同じ道を進んで、政治家になる決心をしたよ) もうすぐ衆議院選挙 (the House of Representatives election) ですが、候補者の中には二世議員や三世議員(岸田総理も三世議員) さらに四世議員もいてpersonを選ぶのではなく、代々続いた老舗のfamilyを選ぶ選挙になっている気がしてなりません。メディアもさかんに投票を呼びかけていますが、これからの日本を担うことになる二十代、三十代の前回の投票率は三割から四割です。半分以上の若者が選挙に行かない。言い換えれば、彼らの大半が議会制民主主義にノーを突きつけている。かつて十八歳以上の選挙権が実現したとき、わたくしはやっと十代の若者が政治に積極的に参加できる基盤ができたと喜んだものですが、結果は絶望的なものでした。もうそろそろ議員や政党による議会政治は終わりにしようと彼らは訴えているのかもしれません。世界的にも非民主主義国家が民主主義国家より増えてきているのもその証左かもしれません。民主主義というかdemocracyそのものがよろしくないのではなく、democracyをさらにdemocraticにする新たなシステムーー選挙を含めてーーを彼らは要求しているのではないかと思うのですが……。