fling  Cambridgeによるとto throw something or someone suddenly and with a lot of forceとあります。突然力任せに投げる、といったかんじ。He crumpled up the letter and flung it into the fire.(彼は手紙をまるめると、それを力任せに火に投げ入れた)(Cambridge) という例文が載せてありました。どうも荒っぽさというか、衝動性といったニュアンスを感じさせる語です。たとえば、風でドアが突然開いたり (The door was flung open by the wind.) 誰かが突然乱暴にドアを開けたり(Somebody flung open the door) といったかんじがflingのイメージでしょう。 名詞形に「不倫」(発音が日本語の「フリン」に似ているのが不思議です) という意味があるのも浮気は衝動的かつ一時的な火遊びだからなのかもしれません。He ripped his shirt off, flung it to the ground and went, “Let’s do this!” (彼はシャツをさっと脱ぎ、それを地面に投げ捨てて、こう言った。「さあやろうじゃねえか!」) 同じ投げるでもthrowは何かをめがけて投げる感じで、荒っぽさを含んでいない気がします。He was throwing stones at a tree. (彼は木をめがけて石を投げていた) ところで、相撲の世界では上手投げのことを overarm throw / arm throwとthrowを使うのは、相撲が様式化されて荒々しさが削れていったからではないかと思われます。個人的には横綱が立ち合いのときに、かちあげや張り手などの小細工をするのは好きではありませんが、日本ではじめて相撲をとった野見宿祢 (のみのすくね) という猛者は、対戦相手の当麻蹴速 (たいまのけはや) の脇骨をふみさき腰を踏みくじいて殺した(日本書紀)そうで、相撲のはじまりは、プロレスなみに惨たらしく、プロレス以上に命がけだったことがわかります。