adorn 「飾る」「引き立たせる」Cambridgeにはto make something more attractive by putting something on itとあります。何かを加えることによって、いっそうそのものを魅力的にする、といったかんじです。語根の-ornは「飾る」という意味だそうです。ornament(装飾)のornです。decorate (飾る)のorateとも関連がありそうです。前置詞はwithを伴います。She likes to adorn the gate with flowers. (彼女は門を花で飾るのが好きだ) 直接持って行く、直接何かにつける、身につけているというときのwithの感じがします。She adorned herself with beautiful clothes. という場合、美しい服を着て自分を飾っているわけですが、見方をかえれば、その美しい服が彼女の美しさを引き立たせているともいえます。White Panama hats adorned their beefy heads. (白いパナマハットは彼らのがっしりした頭を引き立たせていた) ところで、ロシアの文豪ドストエフスキーは「ほんとうに美しい人間」を描くことがテーマだと言いました。さらに「ほんとうに美しい人間」を引き立たせるためには滑稽という要素が必要不可欠だとも言った。私は、『カラマーゾフ』を中途で止めた以外はほとんどすべて彼の作品を読みましたが、主人公や登場人物たちに「ほんとうに美しい人間」を感じることはあっても、滑稽のあまり笑い出すといったことはありませんでした。日本とロシアでは笑いの質が違うのか、それとも日本語に訳すと滑稽さの味が伝わらないのか、あるいは私自身が滑稽の本質をまだわかっていない、つまり実人生で「ほんとうに美しい人間」に未だ出会ったことがないのか、そのいずれかかもしれません。