altercation 「口論」「激論」と辞書にはありますが、言葉による激しいやり取りだけでなく時には殴り合いになることもあるようです。ですから、かなり深刻な問題で口論になる、といった場合に使えばいいと思います。口喧嘩はもっぱらdisputeでしょうか。このalter-はotherの意のようです。I had an altercation with chief of school office. (私は事務長と激しくやりあった) 若い頃、芸術鑑賞会の経費のことでやりあったことがあります。教育よりも経費のことしか頭にない事務長だったので。They were trying to bait the U.S. military, provoke an altercation. (彼らは米軍を挑発して、つまり口論を引き起こそうとした)  一方、disputeは重要なことについて意見が異なったりして口論になること。双方ともに譲らないような場合がdisputeの感じ。I had a dispute with Matt. (わたしはマットと口論になった) かつてアメリカの高校に日本の高校生を引率したとき、歓迎のつもりだったのでしょう、アメリカの生徒たちが「ばんざい」「ばんざい」と大声をあげて出迎えてくれたことがありました。さすがに腹が立って引率を手伝ってくれたALTのマットとdisputeになったことがありした。太平洋戦争で「ばんざい」を叫んで死んでいった日本人のことをもっとアメリカは知るべきだと反論したのですが、どうもそんな歴史など彼らは教えられていないようでした。パウル・ツェランの『芥子と記憶』という詩の中に「僕たちは芥子と記憶のように愛し合う」というのがあります。モルヒネの材料になる芥子は忘却のメタフォーでしょう、だぶん。痛みを忘れさせる、記憶を忘れさせる芥子は忘れてはならない記憶と愛し合うというのですが、ホロコースを体験した詩人のことばは重く深いですね。