stop in / stop by  「ついでに立ち寄る」I want to stop in and renew my library card. (ちょっと寄って、図書カードを更新したいんだ)この文の場合、stop insideあるいはstop into the libraryと考えればinのニュアンスがつかみやすい気がします。というのも動作動詞の場合、目的語がないときは前置詞inで止める場合が普通だからです。stop inはついでというよりもそこに行くのが目的である場合が普通のようです。一方stop byの場合は途中で立ち寄る、といった感じ。前置詞byについては「訪問」を意味すると某英和にはありましたが、個人的にはby way of (~を通って、~経由の) のbyをイメージしてしまいます。家に帰る途中でヤカマシ屋で饅頭買って帰るといった場合、ヤカマシ屋経由で帰るわけですから、go home by way of Omiya Yakamasiyaとなります。その際のbyと捉えたらどうでしょうか。 I changed my mind and stopped by her shop. (私は気が変って、彼女のお店に立ち寄った)  “It makes me feel so good that doctor are going to be stopping by and checking my physical condition.” (お医者さんが立ち寄って、様子を見てくれるのでずいぶん気が楽になります) 往診してくださる医者はいなくなりました。もうそんな時代ではないのでしょう。

 ところで、stop byという成句は詩人ロバート・フロスト(Robert Frost)の代表作――Stopping by Woods on a Snowy Evening――を思い起こさせます。この有名すぎる詩の最後の連は

The woods are lovely, dark and deep,  

But I have promises to keep,  

And miles to go before I sleep,  

And miles to go before I sleep.

と結ばれます。「わたし」は眠りにつくまえに、つまり何マイルも歩んできた人生を終える前に、はたさなければならない約束をはたそうと馬車を進めるーーあるいは停める。たぶん、「わたし」は思い残すことのないような人生を送ろうと思っているのでしょう。けれど、「わたし」のまわりは馬もたじろぐほどの暗く深い森 (dark and deep) が拡がっています。「わたし」もその森が暗く深いだけなら、馬と同じようにその場にたじろいで、先へ馬を進める気にはとうていならないでしょう。しかし、その森はdark and deepだけではなく、lovelyでもあるのです。このlovelyという語がこの詩全体に希望というかpositivenessを与えています。このlovelyが "I" という人物は、どうしてもはたさなければならない約束を残された時間内にはたそうと森の中を進んでいくにちがいないと思わせます。詩人が、この連だけは、AABAの脚韻を壊して、deep, keep, sleep, sleepと[i:] 音で途切れることなく韻を踏ませているのはそのためでしょう。