be better off はbe well off (暮らし向きが良い) のwellが比較級のbetterになったものなので、「いっそう暮らし向きが良い」といった感じで訳されたりしますが、Cambridgeにはto have more money than you had in the past or more money than most other peopleとありました。以前よりもお金持ちになったとか、普通の人よりもリッチだといったニュアンスで捉えればよさそうです。than most other peopleというところにoffの感じが出ている気がするのですが、どうでしょうか。offをaway fromととれば、たいていの人から離れている(off) ほど、つまり普通の人とは違うくらいに豊かという風に解釈できます。

 さて、このbe better offには、「~したほうがいい」というも意味があります。Cambridgeにはin a more satisfactory situation than you were beforeとありました。以前よりもずっと満足できる状況にあるといったニュアンスでしょう。そこから「~したほうが満足できるよ」「~した方がいいよ」となったのでしょう。たぶん。ですからhad betterに近いけれども、ニュアンスはかなり異なる気がします。had betterには強制的なニュアンスがありますが、be better offはそんな強い意味合いはありません。どちらかと言えば、shouldに近い感じでしょうか。たとえば、You’ re better off not knowing about it. (知らないほうがいいよ) とかYou are better off staying home today. (今日は家にいるほうがいいよ) といった場合、知っているよりも知らない方がいい。外に出るよりも家の中にいる方がいい、といっているわけで、勧めていることの「逆」のことと比べてみて、だったらこうした方がいいよ、と物事や状況を前向きに提案する場合に使われているような気がします。このoffについてALTに訊ねてみましたが、案の定、小首をかしげるだけでした。ネイティブでも分かりづらいということでしょうが、off=away fromととるならば、上の文をかりれば、知っていることから離れて、外に出ることから離れて、といったニュアンスで捉えればいいのではないでしょうか。If we want to decline an invitation, we’re better off saying that we don’t have enough energy or that we don’t have enough money. (誘いを断りたい場合は、十分な体力がない、もしくは十分なお金がないといって断った方がいいでしょう)(CNN  Ashley Whillans) このようにbetter offの後には、不定詞ではなく動名詞が来ますが、それもoff=away fromだからと考えればいいのではないかと思います。いささか強引ですが。